【イベントレポート】2018/04/03 江戸時代のお花見弁当を作って、お花見する

概要

開催日時:2018年4月3日(火)

参加人数:20名

於:フォーデイズ・キッチンスタジオ(東京)~浜町公園

桜咲く下で皆なで飲み食いして、花と交流を楽しむ。それまでは上流階級だけで楽しまれていたお花見が、江戸時代、徳川8代将軍吉宗の奨励から庶民に広まって盛んになり、以来お花見は日本の春に欠かせない行事となっている。
4月の体験イベントのテーマは、お花見と食。食文化史研究家永山久夫氏に、江戸時代のお花見弁当についてお話しいただき、その時代に食べられていたお花見弁当メニュー8品を、参加者が3グループに分かれて調理開始。化学調味料や合わせ調味料は一切使わずに、1グループ3品、各20人分の料理を短時間に作ることはなかなか大変だったが、みんなで役割分担・力を合わせて、約1時間半で3段お重4組の料理が完成した。
その後出来上がったお重を持って桜咲く中央区浜町公園に移動し、盃に花びらを浮かべて乾杯。桜の花びらが散るなか江戸時代のお花見弁当を食べながら、和気あいあいのお花見の会となりました。

 

講師紹介

永山 久夫氏


1932年福島県生まれ、86歳。食文化史研究家。食文化研究所、総合長寿食研究所所長。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究者でもあり、長寿村の食生活を長年にわたり調査している。書籍の出版、新聞の連載、テレビやラジオ出演の他、古代食や長寿食、頭脳食などをテーマにした講演活動を全国各地で行っている。

<主な著書>
「永山豆腐店―豆腐をどーぞ」(一二三書房)
「頭イキイキ血液サラサラの食事術」(講談社+α)
「和食の起源」「日本人は何を食べてきたのか」(青春出版社)
「万葉びとの長寿食」(講談社)
「健康食なっとう」「健康食みそ」(農山漁村文化協会)
「和食のすすめ」「ひとり鍋のすすめ」(春秋社)
「日本古代食事典」(東洋書林)
「100歳食入門」「みそ和食」「100食レシピ」(家の光協会)
その他多数

<お話しのポイント>

江戸時代のお花見のテーマは「1日の遊楽が100年の寿命をのばす」

・55人の実子がいたと伝わる11代将軍家斉は、大の酒好きで、花見にはお酒を飲んで大いに遊んだという。庶民にとっても花見は年に1度の大イベントで、「1日の遊楽が100年の寿命をのばす」として江戸のお花見はおおいに盛り上がった。

笑顔は幸せをもたらす

・笑顔はナチュラルキラー細胞(免疫細胞)を増やし、健康によいだけでなく、ニコニコしていると幸せホルモンといわれるセラトニンが出やすくなる。

黒豆の煮物座禅豆は、お花見には欠かせない1品

・黒豆には尿意を控えさせる成分があるとして、僧侶が座禅を組む前に黒豆と大豆の煮ものを食べていたため、この煮豆は「座禅豆」といわれた。お花見でも長時間トイレに行けなくなるため、お花見弁当には欠かせない1品となった。自分の分をとった時黒豆のなかに大豆が3つ以上入っていたら、その年はいいことがあるとされた。

卵焼きは“粋”な江戸っ子のもと

・江戸時代には四角い鍋がなく卵焼きも丸鍋で作ったので、丸い形だった。

・江戸の社会は“粋”が重要視され、頭が良くて回転が速く、話がうまい人が粋=カッコイイとしてモテたという。卵の黄身には脳の神経伝達機能であるポリンやレチシンがあり、栄養豊富な食べ物として、江戸っ子に重宝された。

料理は健康長寿に最適。自分の頭と舌を使って脳を活性化

・料理を作るときはレシピに頼らず自分の頭と舌を使って欲しい。失敗しても次に活かせ、頭の中の情報量を増やせる。

・献立を考え、材料を切り、味付けを考えるなど、料理は脳の活性化させる。健康で長生きするには料理が一番。

いつまでも働いて、みんなで助け合う社会へ。普段の食事が重要

・人生100年時代。自分で働く限界を決めないで、生きている限り働くようにしたい。高齢化、人口減少が進む日本ではみんなで支え合わないと潰れてしまう。
そのためには、ひとりひとりの普段の食事、食生活が大事になってくる。

日本に生きている人の魅力を伝える。ジャパニーズ・スマイル・ワンス・モア

・明治時代に日本を5回訪れ、横浜から北海道まで旅したイギリスの旅行家イザベラ・バードさんは、その旅行記に「日本は、貧しいのにどこに行っても清潔で、着ているものはこざっぱりとしている。そして、みんなニコニコしている。こんなにホスピタリティ、おもてなしの心を持った民族に初めて会った」と記述し、日本人の笑顔をジャパニーズ・スマイルと表現していたという。
・今後もっとたくさんの海外の人に日本に来てもらうには、自然や歴史だけでなく、日本に生きている人の魅力でイメージアップしていくことも重要。             
最近は少なくなっているジャパニーズ・スマイルをもう一度復活させよう。

 

調理実習&実食

皆でわきあいあいと、楽しく調理実習することができました。




メニュー

<お江戸時代のお花見弁当>


・五目稲荷寿司

・焼き鳥

・焼き鮭

・だし巻き卵

・ごぼうと人参の煮物

・タコの桜煮

・玉こんにゃく

・紅白かまぼこ

・座禅豆