【イベントレポート】2018/03/19 手前味噌をつくる会


 

 

概要

開催日時:2018年3月19日(月)

参加人数:15名

於:フォーデイズ・キッチンスタジオ(東京)

微生物の働きで物質を変化させ、人間にとって有益な作用をさせる「発酵」。日本は世界でも有数の発酵食品大国で、古来より味噌、醤油、納豆、糠漬けなど、さまざまな食品がつくられ、味覚面だけでなく日本人の健康にも
寄与してきた。これらの日本型発酵食品は食生活が多様化するなか消費量が減少しているが、最近では世界的に「日本食=健康によい」というイメージが広まり、日本型発酵食品も見直されてきている。
今回は自家製味噌づくりに挑戦。日頃より味噌をはじめとしたさまざまな食品を手づくりし、また自家製味噌をつくる会を開催されている講師の方に、醗酵食品についてさまざまなお話しをしていただいた。
その後、大豆を煮るところから味噌づくりを開始し、味噌の仕込みが終わると、講師の方自家製の味噌を使った味噌汁を、第1回のイベントでつくった黒米とともに味わった。
今回つくった味噌は熟成するまで3~4ヶ月かかるということで、それまではキッチン・スタジオの冷暗所で保存。参加者には、講師の方が昨年つくられた2種類の味噌をお持ち帰りいただいた。

 

講師紹介

<味噌のお話し>
リーダー栗田 昌美様


<味噌づくり指導>
スターディレクター青木 明子様


<お話しのポイント>

微生物の働きで「うまみ成分」や保存性、栄養価を高めたものが発酵食品

・「発酵」とは、微生物の働きで物質を変化させ、人間にとって有益な作用をさせることを指す。微生物の働きの結果、人間にとって有益なら「発酵」、有害となるのであれば「腐敗」と区別される。

・食材についた微生物が自らの酵素によってタンパク質やでんぷん質を分解して、アミノ酸や糖分などさまざまな物質を新しくつくり出し、元の食材にはなかった味わいや豊かな香りを生み出し、保存性も高い栄養成分豊富な発酵食品となる。

日本は世界でも有数の醗酵大国

・人類の食生活には太古の昔からさまざまな発酵食品がある(ヨーグルト、バター、チーズ、ピクルス、キムチ、メンマ等)が、日本では、麹菌や酵母菌を使った醗酵食品文化が非常に発展した(味噌、醤油、漬物、塩麹、甘酒、本みりん、醸造酢、鰹節、日本酒等)。

微生物の種類もいろいろ

・乳酸菌:糖分を分解して乳酸をつくる菌。代表的な食品はヨーグルト、チーズなど。強い酸性もため殺菌作用もある。
・酢酸菌:アルコールを酢酸に変える菌。酢は酒を醗酵させたもの。
・納豆菌:麦わらに生息する菌。ナットキナーゼという酵素をつくり出して、腸内環境の改善や血液サラサラ効果がある。蒸した大豆に納豆菌を付着させると納豆ができる。   
・麹菌:米や大豆などの穀物を加熱したときにできるカビの一種。発酵の過程で2種類の酵素で糖分とアミノ酸をつくり出し、食品に甘味やうまみをプラス。味噌や醤油に欠かせない。
・酵母菌:糖を分解して二酸化炭素とアルコールを精製する菌。空気、土、野菜の表面などいたるところに生息している。

味噌づくりに欠かせないのは麹菌

・米に麹カビというカビが繁殖した麹菌によって、味噌が熟成する。

自家製味噌はカビが生えやすいが取り除けば大丈夫

・家庭では防腐剤を使わず長期熟成するのでカビが生えやすいが、取り除けば大丈夫。熟成には空気が必要だが、カビにおおわれると熟成が進まないので注意が必要。

味噌は3月頃に仕込み、かめなら8~9ヶ月、密閉容器なら3~4ヶ月で食べられる

・味噌の醗酵・熟成には温度が重要。通常暖かくなる前の冬の終わりに仕込む。
・昔ながらのかめやプラスチック容器で保存する場合は、醗酵・熟成期間は8~9ヶ月、密閉容器なら3~4ヶ月。
・同じ材料・製法でつくっても、各家庭にある菌によって味が違ってくる。
・発酵が進むほど、風味が落ちるので、出来上がった味噌は、なるべく早めに消費する。

 

調理実習&実食

皆でわきあいあいと、楽しく調理実習することができました。




メニュー

<味噌のつくり方>


【材料】
※出来上がりの味噌は10kg想定

・大豆・・   2Kg

・塩・・    800g

・米麹・・   3Kg

・焼酎・・   少々

【使用する調理器具】

・圧力鍋

・撹拌機

〈つくり方〉

①前の晩に大豆をしっかり洗い、水につけてふやかす。※3倍くらいになったらOK。

②圧力鍋で「ふやかした大豆」をゆでる(圧力がかかってから10分くらい:鍋の性能によって時間は異なります。親指と小指でつぶれるくらいの硬さがちょうどいいとされています。)。

③ゆでている間に別のボールで、塩と米麹を混ぜる。

④柔らかくなった大豆を撹拌機でつぶして冷ます。(熱いままだと麹菌が死んでしまうため)

⑤つぶした大豆と塩と米麹を混ぜたものを「しっかり」混ぜあわせる。

⑥雑菌の繁殖を抑えるため、保存容器内を焼酎で拭いておきます。

⑦味噌を団子にして容器に入れます。空気がなるべく入らないように入れるのがポイントです。

⑧雑菌の増殖と水分調整のため、焼酎少々を振り掛けた後、ラップの上から塩約200g(分量外)をかけておきます。

⑨密閉して冷暗所に保存。発酵・熟成させます。(カメの場合は8~9か月程度)